ほりひログ

所属組織の製品 (Azure とか) に関連する内容が多めだけど、個人の見解であって、所属組織を代表する公式情報ではないです。

act を使ってローカル プロジェクトを Azure Static Web Apps にデプロイしてみた


Note!
あくまで「やってみたらできた」的エントリーです。公式の方法ではありません。試すときは壊れてもいいリソースで。


act

github.com

f:id:horihiro:20220213091853p:plain なるものです。スゴイ。
同僚 (一度だけ実物見たことある) の YouTube 配信で「GitHub Actions のデバッグって大変ですよねー」と愚痴コメントしたら、その場で調べて教えてくれました。

Go 製のワン バイナリー ツールなので、(いつでも消せそうなので)気軽に入れられます。
各アクションの実行に Docker を使っているのでこれも必要です。
インストールは公式リポを参照ください。

act <event> <options>

みたいに実行すると、GitHub Actions の yaml ファイルを探して (既定では ./.github/workflows 以下)、<event> *1 にあった action を実行するみたいです。

Runner は Linux 限定、など制限はあるみたいですね。

Azure Static Web Apps

一方で Azure Static Web Apps (以下、SWA) 。 docs.microsoft.com

Azure Static Web Apps は、コード リポジトリから Azure にフル スタックの Web アプリを自動的にビルドしてデプロイするサービスです。

とあるとおり、GitHub Actions や Azure Pipeline を使ってGitHub (or Azure DevOps) のリポジトリにある静的サイトのコードをビルドして、Azure 上の SWA リソースにデプロイまでしてくれます。

SWA デプロイ用の GitHub Actions

この SWA デプロイ用の GitHub Actions を act でローカル実行し、Azure 上の SWA にデプロイできるか試してみました。

ぶっちゃけ、SWA デプロイ用の GitHub Actions は自動生成されるものなので、GitHub Actions 自体をデバッグすることはあまりないでしょう。それはうすうす気づいています。
あくまで、act を試してみた、という実験です。

以下、手順。

0. 事前準備

まず、SWA 自体を Azure にデプロイしておきます。GitHub と連携する必要はないです。

f:id:horihiro:20220213110401p:plain

次にプロジェクトの用意 SWA にデプロイする予定のプロジェクトを GitHub 等に作成して、ローカルに git clone しておきます。

1. GitHub Actions の用意

./.github/workflows に下記 yaml ファイルに置きます。ほぼ自動生成されるものそのままです*2

name: Azure Static Web Apps CI/CD

on:
  push:

jobs:
  build_and_deploy_job:
    if: github.event_name == 'push' || (github.event_name == 'pull_request' && github.event.action != 'closed')
    runs-on: ubuntu-latest
    name: Build and Deploy Job
    steps:
      - uses: actions/checkout@v2
        with:
          submodules: true
      - name: Build And Deploy
        id: builddeploy
        uses: Azure/static-web-apps-deploy@v1
        with:
          azure_static_web_apps_api_token: ${{ secrets.AZURE_STATIC_WEB_APPS_API_TOKEN }}
          repo_token: ${{ secrets.GITHUB_TOKEN }} # Used for Github integrations (i.e. PR comments)
          action: "upload"
          ###### Repository/Build Configurations - These values can be configured to match your app requirements. ######
          # For more information regarding Static Web App workflow configurations, please visit: https://aka.ms/swaworkflowconfig
          app_location: "/" # App source code path
          api_location: "" # Api source code path - optional
          output_location: "dist" # Built app content directory - optional
          ###### End of Repository/Build Configurations ######

2. デプロイ トークンのコピー

Azure ポータルを開いてデプロイ トークンをコピーします。
yaml ファイルに書いた secrets.AZURE_STATIC_WEB_APPS_API_TOKEN として使います。

[概要] ブレードの 「デプロイ トークンの管理」からコピーできます。

f:id:horihiro:20220213110216p:plain

3. .actrc の準備

act の実行設定として下記の内容を .actrc としてプロジェクトのルートに保存します。

-s AZURE_STATIC_WEB_APPS_API_TOKEN=<2. でコピーしてきたデプロイ トークン>
-P ubuntu-latest=node:14.18.3-buster-slim
-P ubuntu-20.04=node:14.18.3-buster-slim
-P ubuntu-18.04=node:14.18.3-buster-slim

ここに書いてしておくと、act 実行時のオプションとして自動で読み込まれます。

最初の行は 2. でコピーした SWA のデプロイ トークンを貼り付けます。
-s FOO_BAR=... と書くと GitHub Actions 内で ${{ secrets.FOO_BAR }} で参照できます。

残りの行は runs-on: で指定するプラットフォームと使うコンテナー イメージの対応です。
ubuntu-*** と書いてあるのに Debian のイメージだったりしますが、細かいことはいいのかもしれません。気にしない。

ポイントは Node.js のバージョンをパッチ レベルまで指定していること。
Oryx (SWA のビルド エンジンである) は Node.js のサポート バージョンとしてパッチ レベルまで指定しています。
なので、マイナー/パッチを省略したバージョンを使うと、コンテナー レジストリ (Docker Hub) 内のイメージ更新で、いつか動かなくなるかもしれません。

f:id:horihiro:20220213121501p:plain

ちなみに act を始めて実行する時、既定のプラットフォームのサイズを Micro とすると、ホーム ディレクトリ配下に .actrc を作りますが、node:12-buster-slim*3 が使われます。
一方で Node.js V12 の 2022 年 2 月現在の最新バージョンは v12.22.10 なので、上のスクショのように「バージョンが合わん」とエラーになります。

4. act を実行する

プロジェクト ルートはこうなっているはず。

$ tree -a
.
├── .actrc
├── .github
│   └── workflows
│       └── azure-static-web-apps.yml
├── .gitignore
├── src
│   :
:
└── staticwebapp.config.json

ここで act push を実行 (push イベントを発行) すると GitHub Actions が実行され、SWA 上にデプロイされるはずです。

まとめ

SWA の GitHub Actions を題材にしたのは反省しているが、act は使えそう。

*1: push とか pull_request とか

*2:静的サイト構築に使うフレームワークによってビルド設定等は変わります

*3:node:16-buster-slim の場合も